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Part2







※WEB拍手内に掲載していたSSです。
 基本的に書き散らしたモノばかりですので、さらりと読み流す程度が理想です。



1/目的も忘れてスッゲーノリノリで敵を狩るアーチャー


 ─────風が強い。
 当たり前だ。ここは冬木で一番高いビルの屋上。
 比較的温暖とはいえ、二月に入ったばかりの、しかも風の強い屋上ともなれば身を吹き抜ける風は冷水のように冷たかった。

 だがしかし。

「フッ、2サーヴァント目フィッシュ! ふふん、ここはいい。面白いように敵が狩れる」

 この上なく真剣な顔つきで、しかし笑みを湛え続けながら弓を引き続ける一人の男によって、暑苦しいほどの熱気に満ちていた。

「………なに、あれ」

 えーっと………アー……チャー?

 うん。アレはわたしのサーヴァント・アーチャーだ。
 地形の把握に連れて来たはずなのに、街を一望しながら突然弓を取り出すから何をするかと思えば。

「────む。あれは言峰か。
 ふふん、いいだろう。面倒は先に潰すのだ。今は守護者ではないのだから後手に回る必要もない」

 ギシ、と弓に矢を番えるアーチャー。

「フハーッハッハッハッハ!
 喰らえ、オレが生き続ける限りこの矢は貴様を狙い続けるぞ! フルンディ〜〜〜ングゥ!」

 大気を切り裂いて飛んでいく矢……剣。
 着弾点がどうなっているのか、そんなものはわたしには見えない。
 わたしに見えるのは高笑いを響かせながら弓を引くバカが一人だけだ。

「む、やはりいたか、ギルガメッシュ。贋作贋作と五月蝿い貴様にはこうだ!」

 捻れた剣を取り出したかと思えば先程と同じように弓に番えて、

「いっけええええええええええええええ! ブロークンファンタズゥゥゥゥゥム!」

 音速すら生ぬるい速度で飛んでいった剣は視界から消えた刹那。
 大規模な爆発を巻き起こした。

「フハハハハハハハ! 3サーヴァント目フィィィィィィィィイッシュ!」

 なんだろう。
 わたし達はこの上なく自分達に有利なフィールドで戦って連戦連勝しているのに、ぜんぜん嬉しくない。

「────む。今度はバーサーカーか。
 今日はよくサーヴァントが通りかかるな。祭りでもあるのか?」

 あるわけないでしょ。

「まあ構うまい。だがこのままストーリーが進んではどこに転がるかわからん。
 もしFateルートにでも進むことになっては目も当てられんからな。
 なあ、凛。一つ訊いてもいいかな?」

「………………いいわ、なに」

「────別に、濡れ場に食われる前に敵を倒し尽くしてしまっても構わんのだろう?」

「……………ええ。もう好きにして」

「フハーッハッハッハッハッハッハ! 十二回! 十二回殺してやるぞヘラクレス!
 近接戦闘しか出来ない筋肉達磨がこの距離でオレに勝てるワケがぬぁぁぁぁぁぁあっぁぁぁぁぁぁいい!」

 イヤッホゥゥゥゥゥゥ! と弓を引き続けるアーチャー。
 あれ、なんでだろう。涙出てきた。





2/恥も外聞も捨てたスーパー乙女・凛とトラウマを抱えたアーチャー


 白い少女は何かの儀式のように片手を挙げ、眼下にいる俺達を見下ろして、

「────誓うわ。今日は一人も、逃がさない」

 そう、歓喜と殺意の入り混じった宣言をした。
 バーサーカーの眼に光が灯る。
 今までイリヤに従っていただけのサーヴァントは、その理性を一時的に解放され、目前の敵を認めたのだ。

「──────」

 為す術などあろうか。
 あの化け物を相手取れる者など存在しない。
 俺や遠坂は言うに及ばず、消耗したままセイバーではあの馬鹿でかい斧剣の振るう風でさえ飛ぶような衰弱加減だ。
 アーチャーでも無理だろう。全快のセイバー並みの力を持っている筈もないのだから。

 だが。

 その男は、口を開かず俺たちの前へと歩み出た。

「アーチャー………?」

 セイバーが口にする。
 だがアーチャーのその言葉に意志を返さず、

「凛」

 場違いなほど整然とした声で、主の名を呼んだ。

「………なに?」

「ここは私が任されよう。あの程度、倒してしまっても構わんのだろう?」

 なんて、トンデモナイ事を口にした。

「アーチャー、アンタ────いいえ、ダメよ」

「え?」

 遠坂の言葉に誰もが疑問符を浮かべた。

「アーチャー、アンタだけに良い格好させるわけにはいかないわ。わたしも────闘う!」

 そう宣言して腰の辺りに挿していた杖のようなものを手に取った。
 それはたとえるなら、そう、子供向けのアニメにでも出てきそうなプラスチックっぽいステッキだった。

「な、り、りりりりりり凛! な、なぜそれを持っている────!?」

 アーチャーが目に見えて狼狽している。
 なんだ? アーチャーはアレがなんなのか知ってるのか? 俺にはただのオモチャにしか見えないが。

「あはははははは! リン、そんなモノでわたしのバーサーカーと戦うっていうの!?
 あはははは、リンも可愛いところあるのね!」

「ふん。イリヤスフィール、笑っていられるのも今のうちよ。この杖の能力を知れば、その顔も苦渋に歪むわよ」

「────何ですって?」

 イリヤの顔が強張る。それは遠坂の得体の知れない自信を感じ取ったからだろう。
 俺にも解らないが、遠坂にとってアレは相当な切り札のようだ。

「ま、待て待て待て待て待て、凛! それはダメだ! それは厳重に封をしておかなければならない封印指定の一品だっ。
 彼の魔道翁でさえ恐れを為した魔術礼装を、君は使ってしまうつもりか!?」

 やはりアーチャーはアレが何であるか、知っているらしい。しかもどうしてもそれを使わせたくないらしい。
 いつもの厭味ったらしい風体を投げ捨て、遠坂にからかわれている俺のような焦りを迸らせている。

「だーぃじょうぶよ、アーチャー。なんでアンタがこれを知っているのか知らないけど、これはそんなにヤバイものじゃないわ。
 まあちょっと恥ずかしいけど、命と秤にかけたら安いものよね」

「なっ……………! 大丈夫なわけがなかろう! ここはオレが引き受けるから! セイバーとあの小僧を連れてさっさと廃屋に走ってくれ!
 濡れ場に食われたって良いからそれだけはダメだとおさかああああああああああああああああああああああああ!!!」

 アーチャーが吼えてる。
 だが遠坂はそれを丸っきり無視して右手に携えたステッキを器用にもくるくると回転させ、新体操のような演技を見せる。

「さあ、いくわよルビー! 覚悟はいいかしら!?」

「はーい、凛さん。こっちはいつでもオッケーですよー」

 遠坂の手にある杖が明滅し、朗らかかつ悪戯好きな割烹着を着た家政婦さんみたいな声色でそう相槌を打った。

「さあ、知るが良いわ、イリヤスフィール!
 これは第二魔法の使い手、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグが作りし世界に唯一つの魔術礼装!
 その効果は無数に連なる並行世界から持ち主の可能性をだうんろーど?するというもの!
 たとえば紅茶を上手く淹れられるわたしの能力をだうんろーど?すれば一瞬でその能力を身につけられる!
 歌が上手いわたしをだうんろーど?すれば、アイドルなんて目じゃない世界的歌手になることだって夢じゃないの!」

「な、そんな、だとすれば、それは────」

「そう、わたしはこの杖の力でバーサーカーとさえ闘えるわたしの力を手に入れる!」

 ビシッ、イリヤにステッキを突きつけ遠坂は声高にそう宣言した。
 並行世界からその時の自分に必要な能力をダウンロードできる魔術礼装。
 これが本当なら、とんでもない切り札だ。
 なんてったって並行世界なんてのは可能性の塊みたいなもんなんだから、大抵の力を手に入れられるだろう。

「や、やめてくれ凛! それだけは後生だ! その杖を使うのはやめろおおおおおおおおおおおおおお!!」

「アンタうっさいわよ、もう遅いから。行くわよ、ルビー!
 コンパクトフルオープン! 鏡面回廊最大展開!
 Der(デア) Spiegelform(シュピーゲルフォルム) wird(ヴィルト)
fertig(フェアティッヒ) zum(ツム) Transport(トランスポルト)───!」

『Ja(ヤー), meine(マイネ) Meisterin(マイステリン)……!
 Offnunug(エフヌング) des(デス) Kaleidoskopsgatter(カレイドスコープガッター)───!』

 閃光。
 遠坂を包み込むように目も眩む閃光が発され、視界が閉ざされる。
 だがそれも数瞬。
 気がつけば白い光は何処かへと消え去り、遠坂がさっきまで居た場所には、なんか赤い魔法少女が立っていた。

「はぁい、お待たせ♪ 魔法少女カレイドルビー、ここに参上!
 ────どうアーチャー? 初めての変身にしては上出来でしょう!?」

 問いかけられたアーチャーは項垂れ四肢をついて絶望を背負っている。
 顔は見えないが、ぽたぽたと雫のようなものが垂れているのが微かに窺える。もしかして、泣いてる……?

 さておき、遠坂が魔法少女になってる。
 驚きを通り越して一回転して冷静になってしまっている俺は変わりまくった遠坂とその脇で打ちひしがれているアーチャーをただ見守る事しか出来なかった。

「さぁて、準備は完了♪
 アーチャー、貴方はわたしの従者なんだから、一緒に戦ってくれるわよね?」

 満面の笑みで魔法少女は歌うように言葉にする。
 それを受け、ゆらりと立ちあがったアーチャーは崩れきった顔を袖でごしごし拭いていつもの冷静な……顔をしようと頑張ってみたけどやっぱり無理でした、みたいな顔でバーサーカーとイリヤを見た。

「ちきしょう……こんなの、遠坂じゃない………しかもオレの活躍の場も取られそうな気配だし、ああ、もうめんどくせぇぇぇぇ! こうなったらやってやるぅぅぅぅぅ────!」

 ヤケクソ気味にそう吼えて、両手に双剣を握り遠坂と寄り添うように移動する。
 それに気を良くした遠坂はふふん、と鼻で笑ってステッキをくるくる回しポージング。
 アーチャーももうどうにでもなれと双剣を携え、ダサいポーズ。

「────行くわよ、大英雄!」
「覚悟の準備は充分か────!?」





3/ダメットさん


「そうだ。この“四枝の浅瀬”、ルーン使いなら意味が分かろうよ」

「その陣を敷いた戦士に敗走は許されず。
 その陣を見た戦士に、退却は許されない。
 ────我ら赤枝の騎士に伝わる、一騎打ちの大禁戒だ」

 その言葉こそがランサーの刻んだ魔術の真価だったのか。
 女魔術師は戦士としての貌を取り戻し、槍兵は呪いの槍を両手に握る。

 ……大気が凍る。
 ランサーの持つ宝具が、主の呼び声を今か今かと待っている。

 遠く十メートル彼方には、鉛色の球体を背に構える女魔術師の姿がある。
 あの球体こそバゼット・フラガ・マクレミッツの秘奥、神代の魔術フラガラック。
 その性能を知るランサーにして、破る事能わじと言わしめた究極の迎撃礼装。

 だが、そう公言して尚、手を緩めることはなく。

「───────その心臓」

 槍兵の腕に力が籠もる。
 投擲ではない。ランサーは自らの身体さえ槍と成し、

「───“後より出でて先に断つもの”(アンサラー)」

 球体が展開する。
 ある呪力、ある概念によって守られた神の剣が槍兵の心臓に狙い定め、

「──────────」
「──────────」

 十秒。

「──────────」
「─────────」

 二十秒。

「──────────」
「────……っ」

 三十秒。

「──────────」
「……っ! …………っっっっ!」

 よんじゅ────………

「────“斬り抉る戦神の剣”(フラガラック)!!!!!」
「───貰い受ける!───」

 判りきった結末を語る必要はない。
 先攻を取ってしまったフラガラックはその性能を発揮することなく空を切り、
 ゲイボルクは鼻歌を歌いながら女魔術師の心臓を貫くだろう。

 奇しくも両者は因果と運命を繰る者。
 二人に決定的な違いがあったとすれば、我慢が出来るか出来ないか。
 たったそれだけだろう。





4/我様と子ギル


「ふははははは、なんたる偶然よ。
 此度の聖杯戦争、まさか我と存在を同じくする者が呼び出されようとはな」

 英雄王の哄笑が雪の降りしきる夜に響く。

「ええ、まったく。
 ボクもまさか前回から未練がましく現世に留まり続けているヒトがいるとは思いませんでした」

 そう返す者も同じく英雄王と称される者。
 だが互いの姿形はまったく違い、纏う雰囲気さえ既に別物だ。

「ふん、王なき世など価値もない。我に統治されてこそ世界も意味を見出せるというものだ」

「その傲慢。どこをどうまかり間違ったらそんな思考に辿り着くのか、興味が絶えませんね」

 呆れるように小さな英雄王が呟く。

「貴様が我と真に同じなら、いずれ気づくだろうよ」

「ええ、知りたくもないですけど」

 がきん、と少年の背後より二本の剣が射出される。それは足元へと突き立ち、戦いの時を待ち望む。

「────ほう? 我と戦る気か? 結果など判っているだろうに」

「ええ、判っていてもやらなければならないものというのも、確かに世にあるんです」

「ハッ、くだらん。その体たらくで我に歯向かうか。無駄だ無駄だ。
 その幼さを残す肉体では過度の行使には耐えられず、その裡に宿す魔力量も我と比べるまでもない。
 そこまで知って、なお我に楯突こうと貴様はほざくか」

「──────」

 応える声はない。
 眼前の剣の一本を手に取り翳すように突きつける。それが返答だと言わんばかりに。

「…………良い。暇つぶしだ。我(オレ)の手で、我(キサマ)は死ね─────!」

 そう宣言し、片手が上がる。
 それは合図。宝物庫に眠る英雄王の剣であり盾である武装の数々を顕現させる一つの合図。
 だが。

「──────む?」

 くいくいと腕を動かしてみるも、英雄王の背後に変化はない。
 いや、背後の空間は波紋のように揺れてはいるが、常ならそこから姿を現す筈の剣群だけが現れない。

「四次元ポケット」

「────なに?」

「四次元ポケット、知ってますか?」

 少年はクスクスと笑い、そんなコトを口にする。
 それは今尚語り継がれる子供たちの夢を詰め込んだ魔法のポケット。
 へたれメガネが泣きつく度に、ありとあらゆる可能性を引き出す世界と世界を繋ぐポケット。

「それが、なんだというのだ」

「あれって実は二つあるんですよね」

「────何……?」

「入り口が違おうと、繋がる空間は同じである。ここまで言えば判るでしょう───?」

「────っ!? よもや、貴様──────!!!!」

「ええ、ボクの鍵剣と貴方が持つ鍵剣。繋がる先はまったく同じ宝物庫。
 ならば話は簡単でしょう。
 貴方が武器を取り出す前に、全て別の場所に移しておけば、宝物庫から武器を取り出せる道理はない」

 それはまさしくドラ○もんの持つ四次元ポケットと布団の下に隠されたスペアポケットの関係に他ならない。
 王の持つ鍵剣がドラ○もんのポケットだとするなら、少年の持つ鍵剣はスペアポケット。
 その仕組みさえ理解出来れば造作もない。
「ま、待て待て待て待て待て! そんな話は知らん! そんなことが、そんなことがっ!!」

「ええ。ボクだって知ったのはつい最近ですから。
 そもそも同じ人物がいること自体、ありえないことですしね」

 両手に剣を取る。
 宝物庫にあったはずの無限の剣群は残すところこの二つのみ。

「や、やめろ貴様! 我とおまえは同じ人物! 我を殺すということは、自分を殺すということぞ!」

「あははは、いいですね。一回未来の自分を殺してみたかったんですよ」

 大胆に間合いを詰める。無手の敵に臆する必要など欠片もない。

「やめろ、止めろ止めろ止めろ止めろやめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

「ああ、本当に────今の貴方は、四次元ポケットのないドラ○もんと同じで、無価値だ」

 ザン、と情けの欠片もなく英雄王は存在を同じくする少年に、無残に斬って捨てられた。

 雪が散った。
 ちらちらと、舞うように落ちる真白の雪は、吹き出す血に染められて、赤く赤く夜に堕ちる。
 ほう、と吐く息だけが妙に白く見えて。

「願わくば、ボクはこんなオトナになんて、────なりたくはなかった」

 呟きは、雪と同じように、儚く潰えた。





5/逆転運命


「オレはね、セイバー。検事になど、ならなければ良かったんだ」

「な………何を言う、アーチャー」

「悪人に有罪判決をつきつける。それが正義だと信じてここまでやってきた。
 来る日も来る日も法廷で争い、その全てに勝利してきた。
 有罪有罪有罪有罪っ!
 バカの一つ覚えみたいにそれだけをつきつけてきた!」

「……アーチャー」

「だけどな、セイバー。途中で気がついてしまったんだ。
 もしかしたら、オレが有罪にした人々の中に、無罪の人もいたんじゃないかって。
 ああ、本当に。オレはなんて愚か者だろう。
 理想を信じて走り続けたというのに、最後は結局、その理想にさえ裏切られたんだからな」

「アーチャー。それでもおまえは、セイバーを有罪にするっていうのか」

「ふん、当たり前だ。オレはもう後戻りなど出来ないところにいるんだ。
 だからこれはただの八つ当たりだ。おまえのようなヤツがいては不幸になる人は後を絶たない。
 だから貴様は……………ここで消えろ。
 行くぞ、衛宮士郎────証拠の貯蔵は十分か?」

「アーチャーァァァアァァァァァァァァァ!!」
「落ち着きなさい、衛宮くん! 冷静さを欠いては相手の思う壺よ!」

 そして幕を開ける弁護士:衛宮士郎と検事:アーチャーの仁義なき戦い!
 士郎は被告人、セイバーの無罪を証明出来るのか!?
 アーチャーは理想を信じ続け、セイバーに有罪をつきつけるのか!?

「異議あり! その証人の証言とこの証拠品とは矛盾している!」
「バカがッ! その程度の揺さぶりに動じるとでも思っているのか!」

 ベテラン検事、アーチャーの巧みな罠によって徐々に追い詰められていく士郎。
 だが負けるわけにはいかない。
 セイバーの無罪を信じるのなら、ここで膝を折るわけにはいかないっ!

「士郎! ここが最後のチャンスよ! 今までの証言と証拠には矛盾はない。
 だけど、矛盾がないということが逆に矛盾しているという事に気がついて!
 そう、前にも教えたはず。
 ピンチの時こそ、発想を逆転させるのよ!」

「──────! そうかっ!」

 そうして最終局面、完璧すぎる矛盾の無さを突いた士郎の一撃が、アーチャーに繰り出される!

「アーチャー! これで終わりにしてやるっ!
 俺はセイバーの無罪を信じてる!
 だから、おまえになんて負けてやらない! 自分にだけは絶対に負けられないんだ!
 その理想を信じたこの思いだけは、間違いなんかじゃないだから─────!!!」

「──────何ぃぃぃぃぃぃぃっ!?」

 士郎の最後の一撃はアーチャーを屈することが出来るのか!?
 セイバーの運命は!?
 理想の行く先とは!?!?

 満を持して登場するハートフルコメディドメスティックアドベンチャー!
「逆転運命 〜理想と現実の狭間で〜」
 今秋執筆予定! 乞うご期待!

 ※大嘘です。





6/某カードゲーム風UBWラストバトル


「フハハハハハハハ! 我のターン!
 場にある王の財宝の効果によりデッキの中から十七の剣を取り出し場に攻撃表示!
 我の攻撃! 行け、原典の力を見せつけよ!」

 立体化し、俺に狙いを定める剣の群れ。

「くっ! トラップカード全投影連続層写をオープン!
 相手の場に存在する全ての武器カードを複製し迎撃する!」

 同じく場に立体化した剣で相手の武器を撃ち落す─────!

「フハハハハハ! 良いぞ、雑種! どこまで耐えられるか、見せてみろ!」

 くそっ────!
 相手の攻撃を迎撃するので手一杯。手持ちのカードではヤツを打倒しうる方法がない。
 あるのは幾つかの迎撃用のマジックカードとトラップカード。
 後は使用意図のわからない文の描かれたカードが複数。
 ダメだ。これじゃ、あの大火力を誇るギルガメッシュを倒す方法なんて……。

「俺のターン。手札からマジックカード投影を発動。
 場に存在する武器カードから一枚を選び自分の場に出すことが出来る。
 俺はカラドボルグを選択し、守備表示でターンエンド」

「我のターン! 雑種よ。些か疲れてきたであろう?
 案ずるな。我の所持する最強のカードで貴様を屠ろうぞ!」

「──────!」

「王の財宝の効果によりデッキから十の剣を場に攻撃表示。
 それらすべてを生贄に捧げ手札からエアのカードを選び、攻撃表示で場に出す!
 世界を切り裂く乖離剣の力! 思い知れ!」

 なっ、攻撃力2000!? そんなモノに対抗するカードなんて───!

「トラップカードオープン! カラドボルグと共にエアの攻撃を迎撃する!」

「甘い! その程度の壁でエアを止められると思っているのか!」

「ぐあああああああああああああああああ!」

 展開したはずの剣は壁にすらならず粉砕され、直接俺にダメージを伝える。
 くそっ。アーチャーのヤツ。こんなザマでどうやって勝てっていうんだ!

「フハハハハハハハハ! 無様よな雑種!
 所詮貴様は贋作者! 本物を持つ我に勝てる道理はない!」

 アーチャーは俺たちはアイツの天敵だと言った。
 なら、必ず俺は勝てる。
 俺の戦い方が間違っているから、勝てないんだ。
 アイツの言葉を思い出せ。アイツに託されたモノを思い出せ─────!

「そうか。簡単なことじゃないか!」

「ぬ」

「ああ、確かに俺は偽者だ。だけどな、偽者が本物に勝てないなんて、道理はない───!」

 俺は引き当てる。俺が、俺たちが勝ち得るカードを!

「俺のターン!!!!」

 よしっ!

「トラップカードを一枚伏せ、ターンエンド!」

「ふん、何をするかと思えば何も変わらんではないか。
 興が乗ったゆえエアを見せてやったが、本来コレは貴様のような雑種に用いるカードでない。
 貴様など、我の財宝で充分だ」

 そして顕現する王の財宝。
 ああ、そんな物、さっきのエアに比べれば三流だ。

「行け、これで仕舞いだ」

 乱舞を始める剣を前にし────

「甘い! トラップカード、ロー・アイアスで一ターンの間、攻撃を無効化する!」

「まだ足掻くかっ! いい加減己の無様を知れ!」

「無様でもいい。ただ俺はおまえを倒す。それだけがあればいい。
 俺のターン!」

 まだ足りない。
 あと一枚。あと一枚、必要なカードがある。
 ここで引かなければ負ける。
 だが引ける。俺はここで、ヤツを打倒できるカードを引ける!

「──────! 行くぞ英雄王!」

「ぬ────!」

「手札より八節の詠唱カードを発動! ────I am the bone of my sword.」

 自らを著す文に自らを顕す韻を乗せる。
 紡ぐ。俺の言葉を。

「────My whole life was “unlimited blade works”」

「な、なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

「詠唱の完了と共にマジックカード無限の剣製を発動!
 このバトルに用いられた全ての剣、互いのデッキに眠る全ての剣を場に攻撃表示で出す事が出来る!」

「な、固有結界! それが貴様の切り札か────!」

「────行くぞ英雄王! 武器の貯蔵は充分か!!!!!」

「くっ、バカな。我の、我の最強のデッキがあああああああああああああああああああああああ!!!」





7/暴走機関車:ブラック=チェリー・ブロッサム号


 ──────リベンジである。

「さあ、行くわよ、セイバー! 今度はあんなヘマはやらないんだから!」

「凛……。何度言えば分かるのです。シロウはあんな低俗劣悪な物など所有していません」

「甘い! あまぁい! 砂糖より甘いわよ、セイバー! 衛宮くんだってね、年頃の男の子なんだから。
 むしろ持ってないってことはアッチの人種ってことになっちゃうわよ。貴女はそれでもいいの?」

「…………む。しかし………」

「大丈夫大丈夫。今度は心強い助っ人を連れて来たんだから。ねえ、桜?」

「はいっ! ここへ通い続けて早二年。この家でわたしが知らないことなんてありませんっ!」

「キャー! 流石は桜ね! じゃあ早速。いったい例のブツは何処にあるのかしら」

「はい。それはですねー……」

 …………何をやってるか、アヤツらは。
 誰もいないので屋敷の中をうろついてみれば、いつぞやの光景のように我が部屋にたむろする女子三人。
 またか。また俺の秘密を暴こうとするのか赤いあくまよ。

 赤いあくまの妹君、最近ちょっと黒い桜さんがお尻を突き出して押入れの中をがさごそがさごそ。
 ────!
 ヤ、ヤバイ……。桜、マジで俺の秘蔵の在り処を知っているのか?

「はいっ、見つけました! これが先輩のコレクションです!」

 高々と掲げられたお菓子の空き箱。あれは慎二のトラップではない。
 あれはまさしく……俺のアレやコレやが収められているパンドラの箱ではないか!
 ぐ……どうする。今出て行っていいものか。
 俺が葛藤している間に桜はあくまに空き箱を渡し、間髪入れずに開けてしまった。

 ああああああああああああああああああああああっ!

「………………これは」
「…………………え?」
「………………うふふ」

 上から順にセイバー、遠坂、桜。
 くぅ……俺のブロンド美女や黒ツインテールミニスカニーソがぁぁぁあぁぁぁぁあぁ!

「何コレ。わたしへの当てつけ?」
「シ、シロウがそんな……まさか」

 有り得ないものでも見たかのように硬直する二人を置き去りに、桜だけがウキウキ気分だ。

「なんで……なんで……コレ全部……巨乳づくしじゃない……」

 何?

「くっ………シロウはやはり……大きい方が好きなのですか」

 え? 巨乳?
 いや……一冊くらいはあったやもしれんが、そんなに多くは持ってなかった筈だ。

「はい。先輩は大きい方が好きなんですっ! だから姉さんもセイバーさんもさっさと諦めてください」

 ガガーンと打ちひしがれる遠坂&セイバー。
 膝は折れ、畳の上で項垂れてしまった。それに対し桜は勝ち誇るように胸を反らしていた。
 なんだこれは……。確かめねばなるまい!

「おい、おまえら!」

「────! 衛宮くん!?」
「シ、シロウ!」
「先輩!?!?」
 ずかずかと入り込んであくまの手から空き箱を掻っ攫う。
 そして中を検めてみれば、

「………………何だコレ」

 これは俺の秘蔵コレクションじゃない。いや、箱の中身だけが入れ替えられている。

「はい。先日、わたしがこの部屋をお掃除した時にそれを見つけまして。
 先輩に相応しいモノと中身を入れ替えておきました」

 と桜が言った。

「…………………………な、なんですとぉー!? え? じゃあ前に入ってたヤツは?」
「捨てましたよ」

 ケロリと。なんでそんなコト聞くの? と言わんばかりに首を傾げ、さらりと桜は発言した。

「え………じゃあ俺のブロンド少女物語は?」
「捨てました」

「黒髪ツインテールミニスカニーソの伝説は?」
「今頃消し炭ですかねー」

「じゃ、じゃあ雪の炉利っ子白書は?」
「何ですか、それ?」

「ぐっ……ならば男装の麗人&サドマゾシスターの休日は!」
「くうくうおなががすきました」

「な、ならば……後藤くん編集、穂群原学園スペシャルは!?」
「くすくすと笑ってゴーゴーです。あ、わたしのだけは残してありますけど」

「…………………………」

 くらりと。足場がなくなるような感覚に襲われ、畳の上に突っ伏した。

「ちょ、士郎!?」
「シロウ!」

 ああ、もう俺の耳にはどんな言葉も届かない。
 さらば、我が友よ。永遠なれ。

「………クスクス」









後書きと解説





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