十日夜 夜/願い 感謝 /1 ─────来訪者を迎え入れるアインツベルン城の広場。 そこはかつて幾度もの戦地となった場所。 しかし、そんな面影など全くなく、以前と変わらぬ姿を取り戻していた。 そこで対峙するは一つの主従と、黄金の王。 王は黄金の甲冑を身に纏い、紅い瞳で相手を見据える。 シエルはソレを見た瞬間に理解した。 ───アレはサーヴァント。しかも……強い。 即座にバーサーカーを現界させ、臨戦態勢に移行する。 身構えるシエルたちに対し、男は腕を組んだまま口を開いた。 「────ほう。貴様、ロアの子か」 「─────!」 その言葉を聞き、シエルは驚愕しながらも思案を巡らせる。 あれは恐らくサーヴァント。 そのサーヴァントが何故彼女の過去を知るのか? ───答えは一つしかない。 「貴方は………タタリですね」 不遜な態度を崩しもせずにただ、哂う。 「いかにも。しかしそれを知った所で何も変わるまい? 我はタタリでありサーヴァントであるのだからな」 それは真実。 タタリはカタチを持たない死徒。タタリは何かに成ることしかできないのだから。 「それよりも、だ。貴様ら、些か手を抜きすぎではないか?」 突然の質問にシエルは困惑する。 言っている意味が、真意が理解できない。 「せっかく幾度も舞台を整えてやったというのに、貴様らとくれば未だ一人の脱落者もおらぬ。 これを手抜きといわず、何と言う?」 「──────」 舞台を整えた? 脱落者? この男は、一体何を言っている? 「すでに開始より十日余り。時間はそれほど残されておらぬ。 故に、我自らこうして出向いてやったのだ」 「まさか─────」 今の言葉より推測される一つの事実───それは。 「余計な詮索などよい。最初の脱落者は貴様らだ。疾く死ね」 パチン、という音ともに男の背後に展開される無数の武器。 「─────くっ」 飛来する二本の剣を渾身の力を込め回避する。 それと共にバーサーカーへと指示を飛ばす。 「バーサーカー!」 「■■■■■■■────!!」 咆哮と共に暴風となりて、男へと突貫するバーサーカー。 しかしそれも即座に止まることを余儀なくされる。 射ち出される無数の剣。 それは一つ一つが紛れもなく必殺の武器だった。 絶え間なく繰り出される宝具は雨となり、バーサーカーを蹂躙する。 いくらかはその斧剣をもって弾くことは可能であるが、それを越える数の武器が射出されている。 それはバーサーカーの体を貫き、その命すらを削り取る────! 「くはははははは、そらどうした大英雄! それが貴様の実力か? 同じ半神として期待していたのだがな」 吹き飛ぶ五体。 剣は黒い巨人の胴を絶ち、頭部を撃ち抜き、心臓を串刺しにする。 「■■■■■■■────!」 ───だが、それでも死なない。 巨人は即死する度に蘇り、確実に敵へと前進する。 シエルはただ呆然とその戦いを見守る。 否、見守るしかない。手出しなどできよう筈がない。 そこはすでに死地。 近づく者を根こそぎ薙ぎ払う一つの戦場と化している。 ────理解できない。 ライダーとランサーを同時に相手をしてなお、互角に戦い抜いたあのバーサーカーが、一人の男によって幾度も殺されていることを。 それはあまりにも凄惨な光景。 黒の巨人相手に一歩も引かず、次々と魔剣、聖剣を繰り出し圧倒する黄金の男。 あの男は────あのサーヴァントは、悪魔だ。 バーサーカーとは違う凶暴さ───秩序を持たない、ただ殺す事が目的の戦いを、 あの男は望んでいる。 だがこれは以前の、イリヤスフィールと共にあったバーサーカーの戦いとは違う。 後方に守る者のない黒の巨人はそれを回避し前進することが可能である。 だがしかし────。 「────フ。 宝具の雨を弾き回避し、殺されながらもバーサーカーは男へと肉薄する! 「────天の鎖よ────!」 ジャラリ、という音共に現れた無数の鎖によって、黒い雄牛は捕らえられた。 「なっ──────」 それはいかなる宝具か。 突如空中より現れた鎖は、空間そのものを束縛するようにバーサーカーを封じていた。 「■■■■■■■────!」 鎖はバーサーカーの両腕を締め上げ、あらぬ方向へと捻じ曲げていく。 全身に巻き付いた鎖は際限なく絞られていき、岩のような首でさえ、その張力で絞り切ろうとしていた。 それは一瞬の油断。 あまりにも凄惨な、見たこともないほどの死闘に見惚れていたのかもしれない。 だが、その一瞬は、あまりにも長すぎた。 「────がッ………」 バーサーカーの動きを封じた男は、その標的をシエルへと変えていた。 繰り出される数本の剣。 それは、シエルの体を撃ち貫く。 シエルは吹き飛ばされ、その体は地に倒れ伏す。 しかし、彼女は強力な肉体保存の魔術を自身にかけている。 それ故、多少の傷などそれほど時間をかけずに塞がるのだ、が。 「───がっ……はっ!」 倒れ伏したシエルへと追い討ちをかけるように突き刺さる、無数の剣。 致命傷には至らぬように繰り出されたそれは、彼女を大地へと磔にする。 「ふん。貴様の魔術など見通せぬと思ったか? さすがに異物が混入していては修復もできまい。 何、我の目的はサーヴァントを殺すこと。抵抗せぬならそのまま生かしておいてやろう」 視線すら向けず、男は言う。 「では幕だ。─────散れ」 そうして。 終わりを示すように、男は片腕で巨人を指した。 「ぁ───く………」 展開される無数の剣。 それは、鎖に繋がれ、無防備なままのバーサーカーを撃ち貫いた。 その数、実に二十七。 もはや奇怪なオブジェにしかとれない形となって、黒い巨人は沈黙した。 ……息があるかなど見るまでもない。 十二の試練を乗り越えた大英雄であろうと、それを超える死を受ければ、立ち上がれる道理はない。 ……そう。 たとえ生きているとしても、巨人には呼吸する力すら、もはや残されていないだろう。 ───そうして、両者の戦いは終わりを告げた。 どちらが勝利するのかなど、始めから判っていたのだ。 ……バーサーカーでは、あのサーヴァントに勝つことはできない。 否、あらゆるサーヴァントは、英霊である以上あの男には敵わない。 英霊にはそれぞれ、生前において苦手とされた事柄がある。 その因縁こそが彼らにとっての最大の弱点だ。 なら───もし全ての宝具、その英雄を殺した宝具を所有するモノがいるとしたらどうなるか。 その結果が、これである。 いかに英雄として精度で上回ろうと、英霊である以上は、決してこの男には勝利できない──── そうして、バーサーカーは灰となってその姿を消す。 戦いに幕の下りたその直後───。 「────そこか」 男は一本の剣を射ち放った。 /2 駆け出した衛宮士郎はその身を隠すことすら忘れ、ただ夢中に走り続けた。 そして広場へと着いた瞬間。 「───がッ!……ぐっ………っう!」 腹より滴り落ちる赤い血液。 何が起きたのか? ────考えるまでもない。攻撃を受けたのだ。 為す術もなく、大地に膝をつく。 なんて──迂闊。 「───ほう。誰かと思えば雑種ではないか」 「───おま、え。ギルガメッシュ…………ッ!」 赤い瞳が、士郎の敵意に反応する。 しかしそんなものに応じた様子もなく思案する。 「貴様がいるとなると────」 無数の乾いた音。広場に響く複数の人間の足音。 士郎の後方より凛たちが駆けつける。 「士郎! 大丈夫!?」 駆け寄り、士郎の容態を診る。 サーヴァントたちはいつでも戦えるよう身構え、志貴たちは───。 「………先輩!?」 「代行者!」 地に磔にされる女性を見やり、驚愕を声にする。 「遠野、くん………」 凛たちも彼女の姿を認識する。 それは、外人墓地で出会ったバーサーカーのマスター、シエルである。 「───ふむ。セイバー、アーチャー、それに………アサシン、か」 ギルガメッシュはマスターたちには目もくれず、ただサーヴァントを観察する。 「三騎か。少々面倒だな」 さて、どうするか。と思案を巡らせる黄金の王。 衛宮士郎がいることから一騎二騎はいると思っていたが、まさか三騎。 さすがの英雄王も三対一では辛い戦いとなるだろう。 しかし。 あちらにはマスターという弱点がある。 広域展開できる宝具を持つこの男にとって見れば、マスターなどただの的でしかない。 マスターを守り、かつこの男を相手取るのは些か厳しいといわざるをえまい。 ──ギルガメッシュはその性格故、本気で戦うことが滅多にない。 しかし誰彼構わず油断するほど愚かでもなく、それも相手を選ぶ。 今回のバーサーカーのように、少なからず認めている相手には相応の力を見せつける。 故に。 の三対一という状況ならば、彼は最善の手を尽くすだろう。 それは、絶対の弱点であるマスターを狙うことから始まり、自身の本来の戦い方、誰も近づけさせず絶対的な暴力で全てを薙ぎ払う、という戦闘スタイルを。 「まあ構わぬ。かかってくるがいい」 宝具を展開し、三騎のサーヴァントを見据えるギルガメッシュ。 その剣の数は今までの比ではない。 そしてその右手に握られるは円柱状の剣。 エクスカリバー以上の出力を誇る、世界を切り裂いた剣、乖離剣エア。 その剣を取り出すということは、ギルガメッシュのこの戦いに向ける意思を明確にする。 そこへ。 「待て、ギルガメッシュ」 アーチャーが一歩前へ進み、声を上げる。 それを憎憎しげに見やる金髪の男。 「誰に向かって口を訊いている」 「何、貴様にとっても都合の良い話だ。私と一対一で戦え」 ────その言葉に。 ギルガメッシュはおろか、士郎たちすら沈黙する。 「どうだ? 英雄王。それとも私に勝つ自信などないか?」 不遜な態度で挑発するアーチャー。 それを受け、ギルガメッシュは見下すように裁を下す。 「はっ、 ◇ 「と、いう事だ。お前たちはさっさと逃げろ」 何でもないようにアーチャーは士郎たちを促す。 「……志貴、シオン。彼女を連れて先に行って」 凛が指示を飛ばし、シエルを保護させる。 それを受け、志貴たちはシエルを救出し、一足先に広場を後にする。 「アーチャー………アンタ……」 背中を向けたままのアーチャーに凛が声をかける。 その声は、震えているような気がした。 「凛」 懐かしむように、惜しむように、その名を紡ぐ。 「な、なによ」 「私を、頼む」 それは───あの朝日の中で聞いた言葉。 忘れられない───誓いの言葉。 その返事など当にわかっている。 それでもこの赤い騎士は、その答えを聞きたいと願う。 「ええ────必ず!」 かつての想いを新たにし、凛は再度誓いを胸に秘める。 それに満足そうに顔を緩ませる赤い騎士。 「お前……何言って…………」 未だ完全に傷の癒えていない士郎がアーチャーを睨みつける。 「衛宮士郎。お前の理想はオレよりも遠い処にあることを、忘れるな」 「──────」 この男の語る言葉は、いつも重かった。 その全ては衛宮士郎の裡へと響き、必ず何か意味を成した。 きっと、この言葉も────。 「アーチャー! 何故皆で戦わないのですか!? そうすれば必ず───」 「セイバー」 凛と同じように、万感の想いを込めその名を呼ぶ。 「確かに君の言う事は正しい。これはただのオレの我侭だ。 それでもこれは譲れない。それに君には、まだ願いがあるだろう?」 「しかし─────!」 貴方の願いは───と言葉を紡ぐ前に、凛により遮られた。 「セイバー。彼の思いを無駄にしないで」 凛の手は固く握られ、血が滲み出ている。 それでもセイバーは納得できない。 己のマスターにさえ剥き出しの敵意を向ける。 それを一身に受け止め、これ以上何か言うのなら令呪すら使うとその目は語る。 「くッ───」 「行くわよ、セイバー、士郎」 士郎を支え、凛たちも広場を後にする。 残されたのはアサシン唯一人。 「おい、エミヤ。俺ならアイツを───」 「ダメだ。貴様にも未だその身に願いを宿しているだろう。 それに、これがオレの願いでもある」 「お前────」 死しても誰かの為に生きるのか、己の為に生きてもいいじゃないか。 それは言葉にならず、ただ視線をぶつける。 それにお互いが顔を綻ばせる。 「まったく……ここまで強情なヤツだとは思わなかったよ」 呆れ果てた表情でアーチャーを見つめるアサシン。 「それはお互い様だろう。それよりも、彼女たちを頼む」 「ああ───任された」 二人に別れの言葉は要らない。 ただ託されたものを貫き通すだけだ。 敵として出会い、友として別れた二人の男は。再び、友として別れを告げた。 /3 「は。所詮本質は同じよな、アーチャー。 貴様もあの雑種も、自らを犠牲にする行為など全て偽りだというのに。 だから貴様らは偽善者なのだ」 今まで全く動かなかったギルガメッシュがようやくその口を開く。 ───残されたのは赤い騎士と黄金の王。 「贋作、偽善者か。ああ、確かにそうだ。 だが───偽物が本物に勝てぬと誰が決めた」 階段を下り、瓦礫の広場で対峙する二人のアーチャー。 かたや、全ての宝具の原典を所有するウルクの英雄王。 かたや、その全てを複製する無銘の弓兵。 オリジナルとフェイクの戦い。 「ふん。精々我を楽しませよ。それくらいしか貴様に価値はないのだからな」 背後より現れるは無数の宝具。その全てが真作にして、原典。 その数、裕に三十を超える。 「───善処しよう」 それを視認、解析し、全く同じ宝具を展開する赤い騎士。 彼が真の意味でギルガエメッシュに拮抗、凌駕する術は一つしかない。 それは即ち─────固有結界。 これを発動できるか、否か。 それにこの戦いの全ての命運が懸かっている。 /4 ───激突する剣と剣。槍と槍。武器と武器。 それは凄まじき剣戟音を奏でながらぶつかり合う。 この戦い方では赤い騎士に万が一にも勝機はない。 相手の武器を視認、解析し、それから複製する戦い方では必ず後手に回ってしまう。 英雄王を打倒するには、先手を取ることが不可欠。 ならばどうするか?────答えは一つ。 先手の取れる世界を作ればいい。 それをこの赤い騎士は可能とするのだから。 ◇ エミヤシロウの信じた理想───正義の味方。 それを胸に秘め、多くを救い僅かを零してきた。 自らの手で罪の無い人々を殺し、その何倍もの人々を救ってきた。 大切な人たちの手すら離して、一人、オレは走った。 ───それは間違っていたのか? 否、殺してきたものの痛みを背負い、理想を追い続ける事がオレに許された、ただ一つの道だった。 それだけを信じてオレは生きてきた。 守った理想に裏切られても。 それが、正しいと信じた道を間違いなんかじゃなかったと誇れるから。 今のオレはここにいる。 それでももし。 もしその零してきた者達を、大切な人達を守れるなら。 それは────なんて。 オレはただ誰にも悲しんで欲しくなかった。 せめて自分に見える世界だけでも、悲しみを取り除ければ、と。 ただ────願った。 だが現実はそんなに甘くはなかった。 見える世界を救ってみれば、次はもっと遠くの世界も救いたくなってしまった。 否、救わなければならないと、強迫観念に突き動かされた。 それはあまりにも遠すぎたユメ。 あまりにキレイで、オレの心にたった一つ残ったエミヤシロウの行動原理。 ──ユメ見たものはただ一つ。 世界から悲しみが、涙が、なくなりますように。 世界に笑顔が溢れますように。 誰もが願うそのユメの為、オレはその叶わぬ理想に命を賭した。 だがオレは多くを救う為、“誰か”を犠牲にして理想を追い続けた。 全てを救うことなどできはしない。 大人になれば誰でも理解する。それが────現実だと。 それが最も効率的で、そうする他に道はないのだと思い知らされる。 しかし、セイバーはかつてこう言った。 『貴方ならばその犠牲になる“誰か”を自分にして、その理想を追い続ける筈だ』、と。 それはエミヤシロウにはできなかった、衛宮士郎の理想。 少年が少年で在り続けることは難しい。 それでも衛宮士郎はそうあり続けるだろう。 大切な人達を守り、そして正義の味方を目指す。 それはオレの歩んだ道よりも、困難で険しい道のりだ。 ならば───超えていけ、衛宮士郎。 そしてその手を離すな。 そうすれば、おまえはおまえで在り続けられるのだから。 ◇ ────そして今。 エミヤシロウは衛宮士郎へと立ち返り、その犠牲になる“誰か”を己とし、大切な人達を守る為、戦う。 「────ク」 自然、笑みが零れる。 「何が可笑しい、アーチャー」 当然だ。これはオレの望んだものなのだから。 正義の味方が助けられるのは、味方した人間だけ。 ならばオレは彼女達の味方として、この男の前に立ちはだかろう。 そうしてオレは、たった一つの己を顕す言葉を紡ぐ。 「────── 「────ッ! 貴様!!」 宙に浮かぶ無数の宝具。 それがオレの命を刈り取る為、一斉に乱舞する。 それを見据え、ただそれを防ぐ為だけに自身の丘より盾を引きずり上げる! 現れたるは七枚の花弁を持つ防壁の盾。 いかな英雄王の宝具といえど、射出という形で用いる以上、この壁を突破することは容易ではない。 「 ク────オレの命がそれほど欲しいか、英雄王。 欲しければくれてやる。 だがな、ただでは渡さん。 貴様にも相応の報いを受けてもらおう────! 「 「チィ────届かぬか!!」 されど流石は英雄王の持つ宝具。 投擲武具に対する絶対防壁も無残にその花弁を散らしていく。 「 ────叶える願いなどありはしない。 ただ、彼女達を守る為だけに、この刃を振るおう。 「 ────もう振り返ることなどありはしない。 託せるモノは全て託した。 「 ────もう思い残すことなどありはしない。 再び彼女たちと出逢えたのだ。 それだけで、オレの心は満たされている。 「──── 後悔ばかりだったオレの在り方でも、君たちと出逢えたことを、こうして君たちを守れることを────────オレは心から誇りに思う。 これはただのエゴかもしれない。それでも、そう思わせてくれないか。 ───そうして最後に。 君達に、一番伝えたかった言葉を言うよ。 遠いあの日には伝えられなかった言葉を。 たとえ届かなくても、これだけは、言わせて欲しい。 遠坂、セイバー。オレは────── /5 「─────君達に逢えて、本当に良かった。ありがとう」 そう士郎は呟いた。 前を走る志貴たちには聞こえないほどの声量で。 わたしたちだけに聞こえるように。 「シロウ………?」 それは───誰の想いか。 その呟きに込められた想いは、どれほどの想いだったか。 「あのバカッ………! 自分の口で言いなさいってのよ……!」 目の前が霞む。 それでもわたしはひたすら走る。 あいつの想いを、無駄にしない為に。 「アーチャー………」 ありがとう。振り返れば、楽しかったと呼べる日々を。 ありがとう。たくさんの想い出を。 あんたの想いは、必ずカタチにしてみせるから──────! 赤い騎士の想いを胸に、皆は走り続ける。 あの男の生き様は、確かに心に何かを残したと、そう────信じているから。 後書きと解説 バーサーカーとギル様は相性最悪だと思うんですよ。 遠距離攻撃vs近距離攻撃でどちらが有利か、というのは決めにくいですけど 肉薄されても天の鎖で雁字搦めができるギル様の方がかなり有利。 さらにギルはエアもまだ持ってるしなぁ。さすがサーヴァントキラー。 アーチャーについては何も言う事はありません。 これが私なりの答えです。 賛否両論あると思いますが、これも一つの形として受け取って頂ければ幸いです。 back next |